別表四の簡易様式とは 具体的な違いを解説

やや難しめの税金・会計話

 

 

こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。

 

「別表四に『簡易様式』ってあるけどこれなんだろ?」

法人税の申告書をつくる際、そう疑問に思ったことはありませんか?

 

税理士事務所(会計事務所)の方向けではありますが、自分が疑問に思って調べたときにそれほど検索に引っかからなかったことを中心にまとめているこのシリーズ。

今回は別表四の簡易様式について解説いたします!

 

 

 

別表四の簡易様式とは

私がこの税理士業界に入って以来よく使ってきた税務のソフトってNTTデータの「達人」なんですが、達人がデフォルト(初期設定)で使う申告書ってこの標準の別表四だと思うんです。

 

(長いので下半分省略。全部見たい場合は「別表四_標準のPDF」のリンクをクリックしてみてください。ソフトや事務所の方針でもともと簡易様式つかってる場合もあるようです)

 

別表四_標準

別表四_標準のPDF

 

 

 

別表を選択する画面ってたくさんあるから正直そんなにまじまじ見ないんですけど、ある日ふと「簡易様式」って書いてあるやつを見つけて「はて?」と思ったんですよね。

「これなんじゃいな」と。

選択してみたらこんなのが出てきて、「これ標準のやつより加算減算たくさん入れられるじゃん!」と気づいたのでした(赤い四角のところですね)。

 

別表四_簡易

別表四_簡易のPDF

 

 

 

別表四の簡易様式で具体的に省略されている項目

気づいたあと、つぎの疑問が

「簡易ってことはなにか省略されてるのかな。万が一、省略されてる項目に自動計算で数字が飛んだりして、反映されなかったらやだなー」

というものでした。

 

なので、具体的に省略されている項目を調べたところ、

 

・27 沖縄の認定法人の所得の特別控除額

・28 国際戦略総合特別区域における指定特定事業法人の所得の金額の損金算入額又は益金算入額

・31 組合等損失額の損金不算入額又は組合等損失超過合計額の損金算入額

・32 対外船舶運航事業者の日本船舶による収入金額に係る所得の金額の損金算入額又は益金算入額

・35 特定目的会社等の支払配当又は特定目的信託に係る受託法人の利益の分配等の損金算入額

・41 農業経営基盤強化準備金積立額の損金算入額

・42 農用地等を取得した場合の圧縮額の損金算入額

・43 関西国際空港用地整備準備金積立額の損金算入額

・44 中部国際空港整備準備金積立額の損金算入額

・45 再投資等準備金積立額の損金算入額

 

というような感じで特殊なものが多いので、これらに該当しなければ簡易様式でもまったく問題ないんだなということがわかりました。

(関西国際空港とか中部国際空港とか限定的すぎでしょ^_^;)

 

 

 

使うべきかどうか 別表四簡易様式のメリットデメリット

ということで、省略されている項目を使用しなければ、実際に使うかどうかは完全に好みの問題かと思います。

あえてメリットデメリットを挙げるならこんな感じでしょうか。

 

 

■ メリット

・多少の加算減算なら一枚に収まるので、スマート

・仮計から下が結構削れるので、見た目もシンプル

 

 

■ デメリット

・厚みを出して「こんだけ難解な申告書つくってるんだぜ!」感を出したいときは多少マイナスになる。

・「簡易様式」という言葉を見たお客さんが「ほほ、ここの事務所さんは簡易様式なのか。これは簡易なものしか扱えない低レベルな事務所ということなのかしらんほほほほ」と思うかもしれない。

 

 

 

 

まとめ

というわけで、別表四の簡易様式について、

  • 具体的にどんな項目が省略されているのか
  • 簡易様式をつかうメリットデメリット

についてまとめてみました。

 

私は標準の様式の、ちょっと加算減算つかっただけですぐ次葉紙(もう一枚の紙)に行ってしまうのが嫌いなので、現時点では簡易様式を使っていきたいなあという方針です。

なお、添付画像は「平成28年4月1日以後に開始した事業年度用」のものですが、私が疑問に思った2015年10月時点と省略された項目は一緒でした。とはいえこれからも同じとは限りませんので、ご覧になる時期に応じた判断をしていただければと思います。

 

 

 

 

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