所得税の青色申告承認申請書の記入例 提出の期限と見本・サンプル

超入門編

 

 

こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。

 

青色申告について、シリーズものとして内容をまとめています。

 

1.とりあえず仕事・副業をしてみたものの「自分は確定申告が必要?」かが気になる方へ

『「私って確定申告必要?フローチャート」を作成しました 勢いとノリで事業をはじめた方は確認しておこう!』

 

2.「青色申告ってなに?」という方へ

『〔図解〕青色申告と白色申告の違い 個人事業とともに青色申告をはじめよう!』

 

3.「青色申告のメリットは?」を知りたい方へ

『青色申告のメリット7つをざっくり図解! 〔個人・所得税Ver.〕』

 

4.「具体的にどうやって青色申告をはじめるの?」という方へ

(この記事!)

 

今回は、「青色申告をはじめるには、いつまでに、どうすればいいの?」という疑問にお答えします!

 

なお、今回は、「自分で事業をはじめる方」が対象ですので、相続や不動産を貸しはじめた方は参考程度にご覧くださいませ。

 

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個人が青色申告をはじめたいときの具体的な手続きまとめ

『青色申告のメリット7つをざっくり図解! 』などでご紹介した青色申告のメリットを踏まえたうえで、「青色申告をはじめたい!」と思ったときは、

 

・いつまで?(期限)

・どうすれば?(手続き)

の2つを解決すれば、青色申告をはじめることができます。

 

 

 

 

個人事業の青色申告の提出期限 原則3月15日まで

まず「いつまで?」についてですが、

原則としてその年の3月15日まで

に手続きを済ませることが必要になります。

 

 

つまり、「2021年から青色申告をはじめたい!」と思ったら、2021年3月15日までに税務署に書類を出す必要がある、ということです。

 

継続して事業をしている方が、2021年7月ごろ「よーし今年から青色申告受けよっかな!」と思い立っても、2021年は白色申告になってしまいますので、注意しましょう。

 

 

 

途中から事業をはじめた場合は、はじめてから2カ月以内

ただ例外もあって、年の途中で事業をはじめた方は、事業をはじめてから2カ月以内でOK です。

 

 

通常より期限がゆるくなる、ということですね。

 

わかりやすいのが、会社員をやめてはじめて独立することになった方。

 

6月末で退職してすぐに個人事業を開始する場合、7月1日から数えて2カ月以内の8月31日までに出せばいい、ということになります。

 

 

※ これは私見ですが、最終出社日がもっと前でも、手続き上の退職した日が6月30日であれば、7月1日から数えてOKかと。

 

相続のときは注意!
趣旨とずれるので詳しくは説明しませんが、事業を相続してはじめることになった場合は、最長4カ月以内の提出期限に変わります。
詳しくは国税庁のWebサイトへ。

 

 

 

 

個人事業の青色申告手続き 税務署に書類を出すための記入例一式

というのが「いつまで?」という内容についてでした。

次は「どうすればいいの?」についてです。

 

 

これもそんなに難しくはなく、

・税務署に

・「青色申告承認申請書」という書類を出す

というだけでOKです。

 

 

 

国税庁の「青色申告承認申請書」ダウンロード先

この書類は、国税庁のWebサイトのこのページ からダウンロードできます。

PDFに直接入力できるようになっている ので、そこそこ楽です。

 

 

 

この届出書の内容について、記載例つきで以下の解説をしていきます。

 

・どこの税務署?

・住所や氏名など本人の情報

・いつから青色申告をはじめるのか

・事務所の住所

・事業所得?

・はじめての青色申告?

・いつからはじめた?

・相続した?

・65万円にする? 10万円にする?

 

ちなみに前提として、この書類、出さないとまずいけど出すときはそこそこテキトーでOK、ぐらいに思っておいて大丈夫です。

 

 

 

青色申告記載例1 税務署はどこ?

まず、左上に「自分が提出する税務署はどこなのか?」を記載します。

 

 

税務署は、基本的に その人が住む住所によって書類を出す税務署が変わります

(「管轄の税務署」という言い方をします)

 

 

この調べ方ですが、郵便番号さえあればわかります。

まずこちらの国税庁のWebサイトへ行きましょう。

 

↓ ページ右下に「税務署を検索」コーナーがあります

 

 

↓ ここに自宅の郵便番号を入力します

 

 

↓ すると担当の税務署が出てきます。この税務署を書けばOKです

 

 

 

 

青色申告記載例2 住所・氏名・生年月日など本人の情報

次は右上に「住所・氏名・生年月日など本人の情報」を書いていきます。

 

一応記載例をのせますが、「なにこれ?」と突っかかるところは、

  • 納税地(のうぜいち)
  • 屋号(やごう)

ぐらいかと思いますので、この2点を解説します。

 

 

 

個人事業主の納税地とは → 住所のこと

まずはじめの「納税地」とはなんのことでしょうか?

 

これは、「税務署に登録する住所」というとわかりやすいかもしれません。

この納税地を設定した住所に、税務署からの書類などが届くことになります。

 

この納税地、基本的には 本人の自宅住所 を登録しておきます。

 

上の例でも「住所地」というところにマルがしてありますが、この「住所地」がいわゆる住所のことであり、多くの人はこちらで大丈夫です。

 

 

そのほか、自宅以外の場所にお店や事務所を借りている人は、そこにすることもできます。

お店や事務所を登録にするときは、この「事業所等」にマルをし、そちらの住所を記載します。

(この場合、「上記以外の住所地」のところに住所も書いておきましょう)

 

 

「居所地(きょしょち)」というのが一番レア で、わかりやすい事例でいうと、海外に住んでいる方が、日本に一時帰国した際に住むところ、というようなイメージです。

そこが住所というわけでもないけれど、一時的に生活の拠点にしているよ、という感じですね。

単身赴任している場合なども該当しますが、こういった特殊な状況でないかぎり気にしなくて大丈夫です。

 

 ↓ まとめるとこんな感じです

 

事務所を納税地にするときの注意
事務所など、自宅以外の場所を納税地にした場合、住民税が年間5,000円〜6,000円程度上がる可能性が高いです。
「なんとなく事務所がいいかも」ぐらいだったら自宅にしておきましょう。

 

 

 

 

個人事業主の屋号とは → お店の名前

屋号というのは、簡単に言うと「お店の名前・看板」です。

 

私で言うと、「谷口孔陛」という名前のほかに、「谷口孔陛税理士事務所」という看板を掲げています。

会社(法人)の登記とは違い、どこかに登録するようなものではないので、わりと好きに名乗れますし、屋号で銀行口座をつくることも可能 です。

 

屋号はなくても問題ありません。

(その場合、屋号の欄は空欄でOK)

 

たとえばブロガーのような、取引先が明確に存在しない方はなくても問題ないですし、デザイナーさんのように「会社などから発注を受ける可能性がある」方は屋号を決めておくと、「おっ、本腰入れて商売してるな」感が多少出ます。

(ほんと多少ですが)

 

 

 

青色申告記載例3 いつから青色申告?

上の「青色申告の提出期限」でも書いたように、青色申告はその年の3月15日までに届出を出すことが基本 です。

 

たとえば2018年(平成30年)の8月に、「来年から青色申告にするぞ!」といってこの書類を出す場合、ここには

「平成31年分」

ということで「31」と記入します。

 

 

このとき、「年の途中で事業をはじめた方」については、その年を書けばOKです。

たとえば2018年(平成30年)の7月に事業をはじめた方が、8月に出すような場合。

平成30年から青色申告にすることができますので、「30」と記入することになります。

 

 

 

青色申告記載例4 事務所の住所

次は事務所の住所です。

 

↓ 事務所がある場合は、こんな感じで記入すればOKです

 

この書類を見るたびに、

「名称ってなんじゃい?」

と私は思います。

 

これは店舗などが複数あるときに「○○支店」のように書いておくといいかなという程度で、

「名称」は事務所や店舗が1つの場合は空欄でも大丈夫 です。

 

また、自宅兼事務所の場合は住所含めて丸ごと空欄でもOKです。

 

 

 

青色申告記載例5 所得の種類

「所得の種類」はごくごく簡単で、事業所得にマルをすればOK です。

 

そのほか、不動産を貸す方は「不動産所得」にマルをします。

 

 

 

 

青色申告記載例6 はじめての青色申告?

次の「いままでに~」は、はじめての青色申告であれば「無」にマルをすればOK です。

 

これは「過去に青色申告をしていて、やめたことある?」と聞かれているような項目ですので、大多数の方は「無」でOK。

 

 

 

 

 

青色申告記載例7 いつからはじめた?

次の「本年1月16日以降~」は、基本的に、年の途中で事業をはじめた方だけそのはじめた日を記入します。

 

これをしておかないと、上の「青色申告の提出期限」で説明した「2カ月以内かどうか」がわからないためです。

「もう結構前からはじめてるよ」という方は、空欄でもOK。

 

 

 

 

 

青色申告記載例8 相続した?

次の「相続による~」は、自分で事業をはじめた大多数の方は「無」にマルをすればOK です。

 

「相続」、つまり親などが事業をしていて、亡くなられたことでそれを引き継いだような場合にだけ記入するのがここの欄ですね。

 

 

 

 

 

青色申告記載例9 65万円にする? 10万円にする?

次が実質的に最後です。

「その他参考事項」ということで、よくわからない「簿記形式」というのが書いてありますね。

 

これは、

・複式簿記 ⇒ 65万円控除を受けたい!

・簡易簿記 ⇒ 10万円控除でいいよ

という受け取り方でOKです。

 

「65万円控除と、10万円控除ってなによ?」という場合は、『青色申告のメリット7つをざっくり図解! 』を見てみてくださいませ。

 

 

これはわかりにくいので、複式簿記(65万円)と、簡易簿記(10万円)とに分けて解説しますね。

 

 

 

65万円のときの青色申告届出書の書き方

まず65万円控除を受けたいとき、複式簿記のときの書き方です。

 

・複式簿記

・総勘定元帳

・仕訳帳

の3つにマルをしておけば、最低限OKです。

 

このほか、

・自分の財布とは別に、事業のための現金を管理する場合 ⇒ 「現金出納帳」にもマル

・固定資産がある場合(買う見込みがある場合) ⇒ 「固定資産台帳」にもマル

の2つも、状況に応じてマルをしておくとよいでしょう。

(固定資産がわからない場合は『小学生でもわかるとうれしい減価償却費入門!』をクリック!)

 

少なくとも法律上明記されている書類(帳簿)は、「総勘定元帳」と「仕訳帳」なので、この2つにちゃんとマルがついていれば、経験上税務署からなにか言われたことはありません。

 

((3)その他は空欄でOK)

 

 

 

10万円のときの青色申告届出書の書き方

次に10万円控除を受けたいとき、簡易簿記のときの書き方です。

 

・簡易簿記

・売掛帳

・買掛帳

・経費帳

の4つにマルをしておけば、最低限はOKです。

 

このほか、65万円と同じく、

・自分の財布とは別に、事業のための現金を管理しておく場合 ⇒ 「現金出納帳」にもマル

・固定資産がある場合(買う見込みがある場合) ⇒ 「固定資産台帳」にもマル

の2つも、状況に応じてマルをしておくとよいでしょう。

 

一見すると複式簿記より種類が多いですが、基本的に「総勘定元帳」がすべての勘定科目を含んでいますので、枚数で比較すると複式簿記のほうが増えます。

 

((3)その他は空欄でOK)

 

 

 

 

青色申告記載例10 一番下の欄は空欄でOK

これで最後です。一番下の欄はすべて空欄でOK です。

 

左下「関与税理士」は、税理士に頼む場合に書くのですが、その場合はむしろたいていの税理士がこの書類をつくってくれるでしょうから、ご自分でこの書類をつくる場合は気にしなくてOK。

右下の部分は完全に税務署用なので、すべて空欄で大丈夫です。

 

これで青色申告承認申請書が作成できました!

 

↓ ここは真っ白でOK

 

 

 

最後に 税務署へ提出するときは必ず2部用意する!

さあ、あとはこの書類を、上で調べた税務署へ出すだけです。

 

・税務署へ郵送する

・税務署へ直接持っていく

というのがよくとられる方法ですが、1つだけ注意点を。

 

必ず「提出用」と「自分が保存するための控え」、あわせて2部用意しましょう。

 

2部用意し、郵送なら返信用封筒を同封したうえで送りましょう。

税務署が「受け取ったよ」という意味のハンコを押して返してくれるのですが、このハンコが「税務署へ提出した」という大事な証拠になります。

(直接持っていく場合は、そのまま2部出せば、その場でハンコを押して1部を返してくれます)

 

 

いやもう本当にびっくりするのですが、ごくまれに、失くしたのかなんなのか「あなた本当に青色申告の届出書を出しました?」と税務署から聞かれることがあります。

そんな万が一のときに、「いや、ちゃんと出してるでしょうが」と証明し、自分を守るためにはこの控えが必要になります。

 

これだけは必ず忘れないようにしていただけましたら。

 

 

 

 

所得税の青色申告承認申請書の書き方・いつまで出すかについてのまとめ

というわけで、

  • いつまで? ⇒ 3月15日までか、開業して2カ月以内に出す!
  • どうすれば? ⇒ 税務署に届出書を提出する!

について、実際の記載例とともにまとめました。

 

特に個人は、事業をするなら青色申告にしないと絶対に損 です。

 

書き方などの参考になりましたら幸いです。

 

 

 

個人の青色申告シリーズ

1.とりあえず仕事・副業をしてみたものの「自分は確定申告が必要?」かが気になる方へ

『「私って確定申告必要?フローチャート」を作成しました 勢いとノリで事業をはじめた方は確認しておこう!』

 

 

2.「青色申告ってなに?」という方へ

『〔図解〕青色申告と白色申告の違い 個人事業とともに青色申告をはじめよう!』

 

 

3.「青色申告のメリットは?」を知りたい方へ

『青色申告のメリット7つをざっくり図解! 〔個人・所得税Ver.〕』

 

 

4.「具体的にどうやって青色申告をはじめるの?」という方へ

(この記事!)

 

 

 

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