ふるさと納税をするときに思い出してほしいたった1つのこと

やや難しめの税金・会計話

 

 

こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。

 

時は12月31日。2016年も終わりますね。

自分の税理士という仕事柄もあるのでしょうが、

「ふるさと納税今年の分をきちんと済ませた?」

というFacebookなどへの投稿もしばしば目にしました。

 

上限が引き上げられ、ワンストップ特例制度が創設された影響もあり、2015年頃から一気に普及してきた印象があるふるさと納税ですが、「口うるせえなこいつ」と思われるのは承知で、税理士としてではなく一個人として、前々から思っていたことがあり書いてみます。

結論を先に書くとふるさと納税として支払うつもりの金額のうち、一割を本当の寄付に回してみませんか、というだけの話です。

 

ふるさと納税とは 概要

ふるさと納税とは、ひと言で言うと「2,000円の自己負担でいろいろなものがもらえる制度」、というのが一般的な認識ではないかな、と思います。

どうしてそうなるのか、2016年に寄付をした場合を例に説明すると、

  1. 2016年に自治体に寄付をする
  2. その自治体からお返しとしていろいろなものがもらえる
  3. 2017年に申告する所得税から、寄付した金額のうちいくらかを引いてもらえる
  4. 2017年に納める住民税から、寄付した金額のうち残りを引いてもらえる
    (寄付した金額のうち2,000円は引いてもらえない)

というのがざっくりとした流れです。

 

これは「寄附金控除」という元からあった制度に、ふるさと納税独自の優遇措置が上乗せされています。

 

 

 

ふるさと納税をするときに思い出してほしいたった1つのこと

もらえるものも単に「おまけ」的なものでなく、お肉やお米など自治体独自のかなりいいものが多くもらえます。

これを一つのサービスとしてとらえた場合にはものすごくお得な制度なのですが、ただ、なんといいますか、「これ、寄付じゃないよね」という違和感が私のなかではずっとあります。

 

「寄付」というのは「だれかになにかを贈る」という一方向的な行為なんですよね。

でもふるさと納税は返ってきますし、しかも払う側もそれを理解(期待)してお金を出しますので、その行為は「寄付」ではなくなってしまってるんです。

 

 

東日本大震災のとき

いや、わかってますよ、「ふるさと納税=寄付」と思ってやっている人がそもそも少ないということは。

人間はメリットがあるときにこそ動くものだということもわかっています。

でも東日本大震災のとき、いままで寄付文化がなかった日本にあれだけ寄付の機運が高まったのに、数年経って残ったのがいまのふるさと納税ブームみたいな状況は少し寂しいなとも思ってしまうんです。

 

私にとって東日本大震災は本当に人生観を変えるぐらいの出来事でしたし、まだその影響も残っています(すべて残っているとはとても言えませんが)。

なので東日本大震災のときに人生で初めて自分の意思で寄付をしてからというもの、毎年どこかに寄付をしようと決め、2016年末現在つづけています。

額は最高で年収の3%程度なので大したことありませんが、私はそのとき「自分がこうやって働いていられるのは当たり前のことなんじゃなくって、日本という社会のおかげなんだな」と漠然と思ったので、少しでも還元できればというのが今も続けている理由です。

(2014年に流行したエボラ出血熱への対応みたいな、外国への寄付も多いですが)

 

もちろん寄付だけが社会貢献ではありませんし、私にできていない社会貢献なんて腐るほどあるでしょうし、「だからほかの人もそうしろ」なんておこがましいことを言うつもりは毛頭ありません。

でも年収数千万円の人が、わざわざ上限額を計算してふるさと納税にだけ何十万円払っているのを見て思うのは、このうち一割だけでも本当の寄付をしてくれたら、ということです。

本当にふるさと納税に出すお金の一割、いえ5%でもいいんです、外国の成功した起業家は寄付をして社会貢献するっていうような、そういうのを真似する気持ちでもいい、ふるさと納税を検討するときにほんの一瞬でもこのことが頭によぎればとても嬉しく思います。

 

 

 

おわりに

というわけで小舅(こじゅうと)のお小言みたいな口うるさいことが言いたいだけの回でした。

ふるさと納税は控除が大きいので、ふるさと納税に払うお金をほかに回せばもちろん減税額は減るしお礼の品ももらえません

寄付先によっては減税自体が受けられないこともあります。

寄付をしたら社会がよくなるのか。そう問われれば私は「きっとそう大きくは変わらないでしょうね」とうつむいて答えます。

寄付をしたら人格が高潔になるのか。そう訊かれても私には「このありさまです」と自分を指して恐縮することしかできません。

おそらく一番望ましい社会貢献は、なんらかの問題解決のために実際にからだを動かすことです。事業活動そのものが社会貢献になっている方もいるでしょう。でもいまの私にはどう動くべきかが見つかっていないし、「事業活動が100%社会貢献です」と胸を張ることもできないから、寄付という形でお茶を濁しているだけです。

それでも見つからないあいだはせめてお茶を濁していようと厚かましくも思っています。

 

仕事柄目にすることが多く、さすがにこんな「は?おまえなんなの?」と激怒されてもおかしくないようなことをお客さまに言えなかったので、こっそりブログに書いてみました。

ふるさと納税をするときは、一割、いや5%でもいいから本当の「寄付」にもお金を回してみませんか、というお話でした。