決算日とは 月末以外でもいいの?変更できるの?

超入門編

 

 

こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。

 

3月になると「決算セール!!」とかよく聞きますよね。

いや、平静に日々を過ごしてみると3月以外でも全然聞くんですが、ぼんやりした私は税理士業界に入るまで「会社の決算は3月末」とうすぼんやり思い込んでいました。

 

実は、会社の決算は3月末だけでなく365日いつでも大丈夫 なんです。

今回はその「決算」についてまとめてみます。

 

法人の「決算日」とは

 

決算日の基礎知識

 

3月末じゃなくてもOK

まず冒頭の私の思い込みについてですが、改めて決算日は 3月末じゃなくてもOK です。

大企業は3月末を決算日にしている会社が多いので、その子会社とかだと強制的に3月決算にさせられることもあります。

 

 

なんなら月末じゃなくてもOK

そして、これはご存知でない方が意外と多いんですが、決算日は 月末じゃなくてもOK です。

たとえばこの記事の投稿日である、今日「7月21日」を決算日にしてもよいのです。

(とはいえ、いろいろめんどくさくなるので、何か事情がない限りおすすめはしません)

 

 

なんで3月決算が多いの?

3月決算が多いのは、公的な機関(お役所とか学校とか)が 年度 といって4月~3月をひと区切りにすることがほとんどなので、その影響は大きい気がします。

 

理由としてざっと思いつくのは以下のようなものです。

・学校が終わるのは3月末だから、新入社員を新年度から迎えることができる

・お役所の予算が3月で締まる関係で、予算を使い切るためにたとえば道路工事とかが増える(それを受注する企業の収益が増える)

・税制なども3月決算で区切られることが多いので、それに合わせておくと事務処理が楽になることがある(2014年に消費税が8%に上がったのも4月1日からでしたね)

・習慣的に3月でひと区切りという感じがする

 

 

じゃあ3月決算にしとけばいいかな?

ぶっちゃけた話をしますが、3月決算はあまりおすすめしません

 

これは完全に税理士業界の都合なので、「なんて自分勝手な」と思われるでしょうが、3月決算の会社さんは多いので、あんまり集中しすぎると税理士事務所のほうで 手が回らなくなる 可能性があるんですね(一般的にそういうことがあり得る、という話ですよ)。

特に3月決算の会社さんって上で言ったような「親会社から強制されて」とか「許認可の関係でやむを得ず」とか、比較的大きな会社さん(申告をするのにより注意力を要する会社さん)がしていることが多いので、小さい会社さんまで3月決算で集中してしまうと手が回らなくなる可能性がある、というわけなんです。

 

ただそれだけなら「仕事なんだからしっかりやれ」で終わる話なんですが、手が回らなくなった結果、たとえば「中身をしっかり見ることができず不完全なまま申告してしまった」とか、「税額控除の検討ができなかった」とか、そういった不利益を会社さんにもたらす可能性がある、というのも正直なところなんです。

なので、特別な事情がなく、「みんな3月だからうちも3月にしとくか」ぐらいの気持ちであれば、そのほかの決算日にしておいたほうが余計な不利益を回避できる可能性があります。

 

要チェック!
実際に「いつにしたらいいの?」を知りたい方は
『決算日はいつがいい? 気をつけるべき点3つ』をクリック!

 

 

 

決算日は変更できる?

「そんなこと言われてももう3月末にしちゃったよ。どうしたらいいんだ!」

とお嘆きのあなた。

 

ご安心ください、決算日はあとから変更できる ようになっています。

特に消費税関連が多いのてすが、この変更によって税金を余分に払うのを防げる場合もあり、それなりに活用できる制度です。

 

必要な手続き

(1)株主総会を開いて、株主の3分の2以上の賛成(特別決議)を得て定款を変更する

(2)その株主総会の議事録をつくる

(3)税務署へ異動届出書を提出する

 

※ なお、決算日の変更の場合は登記不要 です。もしお手元に謄本(全部事項証明書等)があったら見ていただくと、決算日(事業年度)については記載がないはずです。

 

注意事項

中小企業の場合、ほとんどは社長や家族で株を持っているかと思いますので、株主総会を開くことも賛成を得ることも難しくないと思います。

ただ、事業年度というものが 1年を超えることができない ことになっているので、たとえば、

・2015年4月~2016年3月の決算を

↓ ↓

・2015年4月~2016年9月までにするよ!

ということはできないんですね(法人税法の話なので、厳密ではありませんが、中小企業の実務上は「1年を超えられない」と思っておけばOKです)

 

この場合、

・2015年4月~2016年3月で一回決算

・2016年4月~2016年9月でもう一回決算

と二回決算をすることになるので、注意が必要です。

(つまり決算日を変えると、多くの場合決算の回数は増えてしまいます)

 

一応条文を

ややこしいので読まなくても大丈夫です^_^;

上のに当てはめると、赤文字部分が「2015年4月~2016年3月で一回決算してね」という意味で、

青文字部分が「2016年4月~2016年9月でもう一回決算してね」という意味になっています。

 

 (事業年度の意義)

第十三条  この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(以下この章において「会計期間」という。)で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この章において「定款等」という。)に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう

法人税法

 

 

 

個人の「決算日」とは

というのが法人の話です。

個人は決算日も何もないんですが、

『個人はとにかく1月1日から12月31日まで』

ということになっています。

 

これを暦年(れきねん)と言ったりしますね。

それで毎年2月16日から3月15日までに確定申告をする、という決まりになっています。

 

 

 

まとめ

まとめますと、

・決算日は365日いつでも大丈夫

・決算日は変更できる

ということですね。

 

ところで、「なんで3月決算が多いんだろうか?」と書いておいてなんなんですが、実際のところ3月決算の法人は全体の20%程度なのでそこまで偏っているわけではないようです(国税庁の平成26年度統計情報より)。

3月決算が多いイメージがあるのは、「3月決算の大企業が多いから(そして新聞やニュースでその時期よく決算の報道がされるから)」というだけのことなのかもしれません。

固定観念は捨てていかないといけないですね(自分へ)。