ROAを改善する方法6つ 税法上の繰延資産は全額費用化する

借入があるなら決算書を見直そう!

 

昨日の『中小企業が気にすべきなのはROEよりROA! 計算式や意味まとめ』の記事で、ROAについて書きましたが、今回はそれを改善する方法があるのか、についてまとめてみます。

といっても内容的に税理士事務所(会計事務所)向けになってしまいました(^_^;)

 

どうすればROAがよくなるか

どうすればROA(※)がよくなるのか。

これは単純に、

  • 経常利益をたくさん出す
  • 資産を小さくする

の2つをすればよいわけです。

 

実態よりも悪くなっている経常利益をよくする方法については『費用の中から特別損失を探そう! 特別損失とは①』などで書きましたので、これらのことをしたあとは会社さんが利益を出すしかありません。

なので、そのほの税理士事務所ができることとなると「資産を小さくする」になるわけです。

 

(※)いくつかありますが当記事では「総資本経常利益率」をROAとします。中小企業白書に合わせるため。詳しくは『中小企業が気にすべきなのはROEよりROA! 計算式や意味まとめ』

 

資産を小さくする

しかし資産を小さくする場合、多くは「資産を費用化する」ことになります。

なるべく特別損失で落とす方法を探るべきですが、費用化すると経常利益が悪化することもありますし、いずれにせよ自己資本比率はなにもしなかった状態より悪化するでしょうから、債務超過前後の会社さんがここの改善を目指すべきかはよく考える必要があります。

(費用化するのが難しい不良資産を、「落とせるのが今しかない!」というタイミングもあるので、そのへんは総合的に判断するしかありませんが)

 

ROAを上げる目的

正直に申し上げまして、ROAは重要な指標だとは思うものの、これを上げるのが目的というより、

  • コンパクトな会社にして回転をよくする
  • 余計な資産を整理してきれいな貸借対照表にする
  • ものによっては意図的に費用化して納税を圧縮する

のが目的です。

 

 

 

 

具体的な方法

資産を小さくするための具体的な方法を列挙していきます。

 

 

回収できない売掛金・未収入金を整理する

回収できない売掛金や未収入金を整理します。

基本的には貸倒損失で落とすことになるでしょうから、理論武装や落とし方は考える必要があるでしょう。

状況によっては別表で残しながら会計上落とす(あるいは貸倒引当金を全額設定する)ことも検討すべきです。

(関連記事『費用の中から特別損失を探そう! 特別損失とは③』

 

 

棚卸資産を整理する

不良在庫など、商品や製品としてもう使えないものがあれば廃棄を検討します。

このとき少なくとも売上原価以外での処理を検討すべきです。

(関連記事『費用の中から特別損失を探そう! 特別損失とは④』

 

 

不要な土地や有価証券を売却する

これは比較的社歴の長い会社さんですが、不要な土地や有価証券を持っている場合売却するのも一つの方法です。

売却益が出たらもちろんよいですし、もし売却損が出たとしても特別損失で落として納税を圧縮することができます。

(債務超過にならないかは気にする必要があります)

 

また、特に土地の売却があった場合、消費税の課税売上割合に準ずる割合には注意しましょう。

国税庁質疑応答

 

 

特別償却や即時償却を検討する

当期に購入した固定資産のうちに、特別償却や即時償却ができるものがあれば、その金額だけ特別損失で落とすべきです。

ただ税額控除が受けられる場合は、その会社さんの状況に応じた判断が必要でしょう。

(関連記事『費用の中から特別損失を探そう! 特別損失とは②』

 

 

一括償却資産を全額費用で落とす

これと次のやつが一番書きたかったことなのですが、私は一括償却資産はなるべく全額落とすべきではと考えています。

一括償却資産がそもそも会計的におかしな処理だということもありますし、「一括償却資産」という勘定科目を設けるにしても「器具備品」などに混ぜるにしても、固定資産台帳と見比べるときチェックするのが面倒だというのも理由の一つです。

金額のインパクト的にそこまでのものにはならないでしょうが、いまは加算するのもその後減算するのも機械でやってくれるのだから手間も大きなものにはならないでしょう。

(もちろん正しい処理ができているかを確認する意識を持つことは必要ですが)

 

  • 別表の項目が増える < きれいな貸借対照表にする・資産の回転をよくする

と、私は申告書の別表の項目が増える手間を厭うよりも、「よりよい決算書にすること」を徹底すべきと考えています。

 

とはいえ、最初この処理をする税理士事務所があると聞いたとき、私はなんとなく10万円以上の資産を一気に落とすことに抵抗を覚えました。

が、よく考えたら30万円未満の少額減価償却資産は一気に落とすんだからそれより小さい金額を気にする必要ないじゃん、と思い直しました。

また、念のため公認会計士の友人にもどうなのか聞いたら「20万円未満なんて鼻くそみたいなもんだからなんでもいいっすよ」というすてきな回答が返ってきました。

 

前の事務所のときは後任の方のことを考えてできなかったのですが、いまは好きに処理できるので一人で「うひょひょ」とニヤニヤしながら処理をしています。

ちなみに30万円未満の少額減価償却資産もそうですが、落とすときの勘定科目は消耗品費や備品費などでなく「減価償却費」で落とすと、銀行の格付け上よくなる指標があるのでおすすめです。

 

 

税法上の繰延資産を全額落とす

これも一括償却資産と同じですが、税法上の繰延資産も可能なものは全額落とすべきと考えています。

 

長期前払費用じゃないの?

税法上の繰延資産って、一般的には「長期前払費用」の勘定科目で処理することがほとんどだと思います。

また、「中小企業の会計に関する指針」や「中小企業の会計に関する基本要領」でも「長期前払費用にしとけ」という趣旨のことが書かれています。

なので長期前払費用でも間違いではありません。

 

税法固有の繰延資産は、法人が支出した費用で、その支出の効果が支出の日以後1年以上に及ぶものをいい、会計処理を行う場合は、長期前払費用等として計上する。
中小企業の会計に関する指針(繰延資産の要点)

 

考え直したきっかけ

後日詳細を追加する予定ですが、『問答式 法人税事例選集』で「税法上の繰延資産を全部長期前払費用にするのは間違いだよ」みたいなことが書かれていて、読んだ当初は「いや長期前払費用でしょうが」と思いました。

また中小企業の会計に関する指針を見直して「ほら、長期前払費用って書いてある」と心のなかで反論していました。

 

しかし会計上どうすべきかを考えたとき、

  • 前払費用 … まだ役務の提供を受けていないもの
  • 繰延資産 … すでに役務の提供を受けたもの

という明確な違いがあることを思い出しました。

 

一番わかりやすいのが礼金や更新料で、払った時点で完全に役務の提供が終わっています。

これを(長期)前払費用にし、多少なりとも決算書を損ねてしまうのはどうなのか、というように考え直しました。

 

なので、税法上の繰延資産は「その支払いの性質が前払費用に該当するかどうか」を基準にし、該当しないものは全額落として別表で調整すべき、というのが現在の私の主張です。

(そもそも税法上の繰延資産を会計上の繰延資産のところに載せている税理士事務所もよくありますが…)

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、ROA(総資本経常利益率)を改善するための具体的な方法として、

  • 回収できない売掛金・未収入金を整理する
  • 棚卸資産を整理する
  • 不要な土地や有価証券を売却する
  • 特別償却や即時償却を検討する
  • 一括償却資産を全額費用で落とす
  • 税法上の繰延資産を全額費用で落とす

をまとめました。

 

まあただ一括償却資産と繰延資産のことを言いたかったがために前回今回と書いてみました。

税理士事務所の手間は度外視して、お客さまの決算書をほんの少しでもいいものにする方法を考える、それはこれからも徹底していきたいと思います。

 

 

 

 

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