「税金いくら?」じゃなく「お金がいくら残るか」が大事 節税は手段の一つにすぎない

節税方法あれこれ

 

こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。

 

自分がブログを書くようになってから、いろいろな方のブログを見ているのですが、

「ブログはリトマス試験紙のようなもの」

「『なんか書いててつまんないな』と思ったら即刻撤退すべき」

という話を目にしまして、「なるほど」「たしかに」と非常に納得するところがありました。

 

というのも、一時期私は『節税あれこれ』というカテゴリーをつくって少しずつ記事を書いていたのですが、

「書いててまったくおもしろくない」

ということに気づいて更新の頻度がものすごく落ちたからです。

 

なぜ私は節税の記事をおもしろくないと思ったのでしょうか?

 

 

節税は手段に過ぎない 一番の目的はお金を残すこと

いきなり結論から入りますが、節税はお金を残すための手段の一つにすぎないからです。

 

『なんのために節税をするのか? 目的をもう一度思い出そう』という記事でも書いたことがあるのですが、私は、一個人としては、

「できる限りよけいな税金払いたくない」

という気持ちには大いに共感するところがあります。

 

しかしそれって、税金のことしか見ていない状態になってしまっているんですよね。

でも経営者の方が考えるべきことはまずお金をいかに残せるか、増やせるか、ではないかと思うのです。

 

 

 

仕事がまったく途絶えてしまった場合に何カ月持ちこたえられますか?

あなたが、

「仕事がまったく途絶えてしまった場合に何カ月持ちこたえられますか?」

という質問を受けたとします。

 

この質問に答えるには、最低限

  • 現在手元にある現預金の金額
  • 固定費が月にいくらかかっているか

を把握していないといけません。

 

「固定費」というのは、「売上がゼロの状態でもかかってしまうお金」のことを言います。

事務所の家賃などはいい例ですね。仮に営業活動をまったくしていない場合でも、借りているかぎり賃料は発生してしまいます。

 

突然の災害や、リーマンショックのような経済状況の激変など、自社はなにもしていなくてもまったく営業ができなくなってしまう状況が訪れる可能性は常に、どの会社にでもあります。

お金が尽きたときに会社は死にます

 

私が「経営者はお金を残すこと、増やすことをまず考えるべき」と思うのはそのためで、それを可視化(見えるようにすること)、数字に落とし込むことは税理士などの会計人の使命といっていいでしょう。

(創業後数年はとりあえず事業を軌道に乗せることが最優先になるように、段階はあります)

 

 

 

シミュレーションをすることで納得感が出る

ただ経営者の方が「税金のことしか見ていない状態」になってしまっているとしたら、それは税理士のせいもあると私は考えています。

これも『なんのために節税をするのか? 目的をもう一度思い出そう』で書いたのと同じ事例を省略しつつ使いますが、

 

税金が260万円かかる見込みの会社さんがあったとします。

 

「うげ、こんなに払うの!?」

と当期の予測を見て思った社長さん。

決算までに500万円の経費を使うことで、税金を減らそうと考えます。

 

500万円の経費により、無事税金が120万円になりました!

 

でもこれ、手元のお金を見ると、

節税前 840万円 ⇒ 節税後 480万円

と大きく減ってしまっているんですよね。

(詳細は『なんのために節税をするのか? 目的をもう一度思い出そう』をご参照くださいませ。。)

 

これは架空の話ではありますが、税理士がシミュレーションの段階で、

「手元にお金が840万円残ると、480万円残るの、どっちがいいですか?」

と税金ではなくお金にフォーカスして、かつ数字に落とし込んで見せてあげれば、経営者の方は無理に経費をつかうこともなかったのではないでしょうか。

 

 

 

勤務時の反省 税金のシミュレーションで終わってしまっていた

これは私のサラリーマン時代の反省で、自分としては「お客さまが少しでもわかりやすいように」という観点で、

  • 図やグラフを自分でつくってお見せする
  • 定期的に資料をいただいているお客さまには、決算前に利益や税額のシミュレーションをお見せする

ということをしていました。

 

でもこの「税額のシミュレーションをお見せする」ことにより、「こんなに利益が出るならなにかにお金を使うか」ということになったことがあった、というのが反省点として心に残っていたのです。

(まあそのお客さまは資金が潤沢で、無借金で、売上がいきなりゼロになっても半年~1年は持つぐらいの優良企業でしたし、むだな経費を使われたわけでもなかったのですが)

 

独立して最も感じたことの一つはお金がなくなっていくことへの恐怖です。

当時も自分で考えて勉強して工夫していたつもりではあったのですが、もっとお金に焦点をあてて、もっともっと「数字を起点にしたご提案」というものが追求できたのではといま感じています。

 

 

ただ100%節税がだめなわけじゃない

ただこれも『なんのために節税をするのか? 目的をもう一度思い出そう』で書いたことですが、100%節税がだめなわけではありません

  • 賞与を支払う ⇒ 社員のモチベーションが上がるならOK
  • 広告費に使う ⇒ 翌期以降の売上や、信用アップにつながるのならOK
  • ものを買う ⇒ 必要なものならOK

というように、将来につながる投資は全然アリだと思っています。

 

法人は利益(所得)が800万円を超えたところから税率が上がるということもあり、「税額の繰り延べ」と言われるような節税策でも、使い方と会社さんの状況次第では有効になることがあります。

つまりあくまで経営を継続させていくための手段の一つとして節税を活用していくこと。

「その会社さんが残しておくべきお金(ストックしておいたり、返済に回したりするお金)」がどれぐらいなのかを常に頭に入れながら、一つでも多くのご提案ができるよう勉強をつづけていくつもりです。

 

 

 

 

まとめ

というわけで、ややまとまりのない話でしたが、

  • 節税よりも、お金そのものにフォーカスしよう

という内容を書いてみました。

 

最後に、更新の頻度が落ちたとはいっても、ブログに書くのがおもしろくないだけで自分のなかにはストックを持っていますし、節税策の勉強も常にしています。

手段は多く持っているほどいいと思っているためです。

(ただその手段を全部出すとお客さまが混乱してしまうので、絞ってご提案するようにしています)

 

会計の仕事、数字にかかわる専門家として仕事をしている以上、数字に落とし込む努力、経営者の方が判断しやすいよう可視化する努力はつづけていきたいものですね。

 

 

 

 

 

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