こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。
前回の『なんで経費にすると税金が減るの?』で、タイトルそのまま「経費にするとどういう効果が生じるのか」という内容をまとめました。
今回は、
- 経費にする
- 税金が減る
- 実質的な負担が減る
と、この「実質的な負担が減る」ということについて、もう少しだけスポットを当ててまとめてみます。
目次
実質的な負担が減るってどういうこと?
これ自体はそんなに難しいことではないので、前回も例として『固定資産を修理したときは要注意!修繕費と資本的支出』で挙げた、
- 修理代に10万円かかる
- 税金が3万円減る
- 実質的な負担は7万円になる
というようなことで説明としては終わりなんですが、一応またプライベートのものを買った場合と事業のものを買った場合とで分けて載せてみます。
プライベートのものを買った場合
またたとえばあなたが彼女に30万円のものをプレゼントしてあげたとしましょう(景気がよすぎる)。
そうすると、
いや、画像を用意する必要ないぐらいそのまんまなんですけど、ただ30万円支払うだけです。
事業に必要なものを買った場合
次に事業に必要なものを30万円買った場合。
わかりやすくするために税率を合計30%としましょう。
そうすると、
というように、
- 30万円支払ったけど、
- 税金が約10万円減ったから、
- 実質的に20万円で買ったのと同じだね
ということになります。
つまり事業で必要なものなら30万円のものを20万円で買えるのと同じこと、と言ってしまってもよいでしょう。
これはもちろん実際のモノだけじゃなくサービスでも同じ。
事業で必要なお金を出すかどうか迷ったときは、税金を引いたあとの金額で考え直すと、また別の判断ができるようになるかもしれません。
(もちろんお金は出てしまいますけどね)
注意点
ただ注意しなければいけない点として、税金を支払っている会社(人)でないと減る税金がそもそもありません。
万年赤字で繰越欠損金が消えてしまうような会社さんにはあまり役に立ちませんので、そこだけ気をつけておきましょう。
(繰越欠損金については⇒『青色申告とは どこよりもざっくりわかりやすく解説!(法人編)』へ!)
節税に活用するとき 本当に早めに買ったほうがいいの?
というわけで、単純に税金が減るという効果だけでなく、プライベートで買うより安く買える、という効果があることもあり、
- 利益が出ている会社さんで、
- 事業に必要なものなら、
私は早めに買うことをアドバイスしています。
(『なんのために節税をするのか? 目的をもう一度思い出そう』でも書いたようにあくまで必要なものならですよ!)
ただ一度、
「本当に早めに買ったほうがいいの? トータルで見たら別に変わらないんじゃないの?」
という質問もいただいたことがあるので、それに対する考え方を書いておきます。
トータルで見たら同じ?
まず「トータルで見たら同じ?」という質問。
これには基本的には「はい」という答えになります。
2016年に買っても税金が10万円安くなる。
2017年に買っても税金が10万円安くなる。
であれば、トータルで見れば同じですよね。
これはまったくもってそのとおりです。
考え方① 来年も利益が出るかはわからない
ただ、いまのはあくまで「今年も来年も同じ状況だった場合」です。
事業というものはいつ何時どうなるかわかりません。
もちろんよくなることもありますが、いきなり業績が悪くなることもありますし、得意先が倒産したり方向転換して仕事をもらえなくなったりすることもあります。
その状況が悪くなったときに、「あのときあの投資をしておけば」ということのないよう、最悪の予想をしながら動くことも経営としては非常に重要です。
注意点 短期的な資金繰りは悪くなる
といっても、『なんのために節税をするのか? 目的をもう一度思い出そう』でも書いたようにお金は先に出ていってしまいます。
先ほどの例の会社さんが、税金300万円だったとしましょう。
その場合、
と、買わなければ税金の300万円だけで済んだお金が、ものを買ったことで320万円出ていくことになってしまっています。
「あのときあの投資をしていれば」
という悩みが生まれる可能性もあれば、
「あのときあのお金を手元に残しておけば」
という悩みが生まれる可能性もあるわけです。
ここはよく考えたうえで判断するようにしましょう。
考え方② 税率が減る局面では有利になる
また、たしかに「トータルで見たら同じ」なのですが、これも「今年も来年も同じ状況だった場合」という前提があります。
ここ数年法人税率は下がっていますので、少しでも税率が高いうちに払っておいたほうが得、ということは言えます。
こういう「時期をずらすことによる節税」には共通して言える点ですね。
ちょっと極端ですが、税率が30%から25%に下がった場合、同じ30万円でも時期の違いだけで2.5万円の差が出ることになります。
法人税なんかは400万円や800万円といった利益で税率が上がりますので、「自社がふだんどれぐらいの税率なのか」を基準にして、これ以上利益が出るなら早めに費用にする、というやりかたも十分効果的と言えるでしょう。
注意点 税率が上がる局面では不利になる
これはそのまんま逆も言えて、税率が上がる局面では不利になることがあります。
私の独断と偏見ではあと7~8年は上がることはないように思いますが、もし今後国際的に税率を上げるような流れになった場合、日本でまた税率が上がることはあり得ます。
まあそのときは逆の考え方になるんだな、ぐらいに覚えておきましょう。
(このへんもアドバイスしてくれる税理士ならあえて覚える必要もありません)
まとめ
というわけで、
- 経費の実質的な負担が減るということはどういうことか
についてまとめました。
余談的な「本当に早めに買ったほうがいいの?」の部分のほうが長くなってしまいましたが(^_^;)、参考になりましたら幸いです!
そのほか具体的に経費の入れ忘れがないようにする方法についてはこちら!
⇒『事業をしている人必見! 領収書がなくても経費にする方法まとめ』