特定支出控除の申告書の記載例 給与所得のマニアックな記載方法

やや難しめの税金・会計話

 

こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。

 

少し前、給与所得の「特定支出控除」というものが改正されたと話題になりました。

特定支出控除(とくていししゅつこうじょ)というのは、「サラリーマンの方でも、仕事で必要な経費を一定額使えば控除できる」というもの。

話題になったのは「スーツ代も経費にできる!」と認められていたことが大きい気もします。

 

ただ以前が激烈に使いにくすぎただけで、改正されたとは言ってもまだまだ実際に使える人はかなり少なく、適用しているのは平成26年分でも約2,000件だそう。

そんなマニアック論点ではありますが、もし適用を受けられる場合に「申告書にはどう書くの?」がざっと検索しても引っかからなかったためまとめてみました!

 

※ 当記事は、やや上級者向けのため、「特定支出控除とは何か?」という話は省略しています

 

給与所得の特定支出控除の申告書の記載例

それでは早速見ていきますが、例として、

  • 給与 400万円
  • 給与所得控除 134万円

の方であるとします。

 

 

給与所得の申告書の記載例 通常の場合

比較としてわかりやすいよう「通常の給与所得の場合」の記載についても載せておきます。

 

 

↓ こちらが通常の場合です。

 

  • 給与 400万円
  • 給与所得控除 134万円
  • 所得 266万円

となっています。

 

 

 

特定支出控除の申告書の記載例 どの欄に書くの?

それでは「転居費として80万円を支払った」場合の特定支出控除の記載例を見てみましょう。

実はこの特定支出控除、別途記載する欄がどこにもありません

ではどこにどう書いたらいいのか?

それはこちらです!

 

 

 

おわかりでしょうか?

通常の266万円より13万円下がった253万円と記入されています。

このように、別の欄に書くのではなく、給与所得控除に上乗せして引いた金額を所得に記載するのです。

 

 

画像にしてしまいましたが、細かい計算過程としてはこんな感じ。

 

 

 

特定支出控除の申告書の記載例 区分ってなに?

さあ金額の記載はわかりました。

「やれやれ、これで進められる……あれ、これってなに?」

と次に紳士淑女の諸君が気になるのが「区分」という欄

 

 

↓ ここの区分とはなんであろうか。

 

 

「給与所得者の特定支出に関する明細書」を見てみよう!

これについては、「給与所得者の特定支出に関する明細書」を見てみましょう。

 

 

↓ これがその明細書です(これを申告書に添付する必要があります)

(全体像を見たい方は国税庁のwebサイトへ!)

 

 

これ、左端の部分を抜粋しますね。

 

ここに小さく書いてある【区分】の数字を申告書に記載するのです!

上は転居費だったので、【区分2】として「2」と記載したわけですね。

 

 

特定支出控除の区分一覧

一応文字にもしておきます。

  • 通勤費 区分1
  • 転居費 区分2
  • 研修費 区分4
  • 資格取得費 区分8
  • 帰宅旅費 区分16
  • 図書費 区分32
  • 衣服費 区分64
  • 交際費等 区分128

(倍々になっていってますね)

 

 

特定支出控除の区分が2つ以上あったときは?

さらに気になるのが「特定支出控除の区分が2つ以上あったときは?」という疑問。

あわてるなかれ、そのときは【区分】の合計の数字を申告書に記載することになります!

 

 

 

これはたとえば転居費と図書費と交際費等の支出があったとき

  • 転居費 区分2
  • 図書費 区分32
  • 交際費等 区分128

ということで合計の「162」が申告書に記載されることになります!

 

 

 

 

特定支出控除があったら第二表にも条文番号を!

さて、いままでは申告書の「第一表」というページの話でした。

(右上を見てみてね!)

 

特定支出控除があった場合、「第二表」にも記載しなくてはいけません。

 

 

 

 

この画像のように、「特例適用条文等」という枠に

  • 所法57の2
  • 支払った金額(例だと800,000円)

の2つを記入しましょう!

 

 

 

 

 

特定支出控除の注意事項

ちなみに特定支出控除を受ける場合、会社から証明書をもらう必要があります

(どんな証明書なのかは国税庁のwebサイトへ!)

 

また、

  • 図書費
  • 衣服費(要はスーツなど)
  • 交際費等(要は接待などの飲み代等)

の3つは「勤務必要経費」という名前がついていて、この3つの合計で65万円までですのでこちらも気をつけましょう!

 

 

 

給与所得の特定支出控除の申告書の記載例 まとめ

というわけで、特定支出控除について、

  • 金額は申告書のどこに書くの?
  • 区分ってなにさ?

についてまとめてみました。

 

検索ボリューム激弱の論点ではありますが、個人の趣味としてまとめてみました。

特定支出控除の記載に迷っているすべての仔羊の道しるべとなりますように!

 

 

 

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<あとがき>

昨日「サーバーの引っ越ししてみてるよ」という短い記事をアップしたのですが、見事に消失しています。

(あ、さくらインターネットからエックスサーバーへの引っ越しを試みています)

アップした時点ではまだ切り替えられていなくて、その後切り替えができたということかもしれません。

メールも送れなくて一瞬焦りましたが、さくらインターネットで設定したときの教訓がありすぐに再設定できてひと安心。

あとはこれで問題が起きないか様子見でござい。