繰越欠損金は消える前に利益とぶつけて節税しよう!

節税方法あれこれ

 

こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。

 

昨日(2016年11月9日)のアメリカ大統領選挙で、ドナルド・トランプ氏が勝ったということでニュースになっていますね。

それとはまったく関係なく書いた『トランプ氏の税金逃れ問題をきっかけに赤字の繰り越しについて考える』という記事が、ほんのちょっと検索で引っかかっています。

 

そこで書いた「赤字の繰り越し」。

これは「繰越欠損金(くりこしけっそんきん)」などと言ったりするのですが、この繰越欠損金を節税に利用できるケースがあるのでまとめてみました。

 

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繰越欠損金とは

繰越欠損金(くりこしけっそんきん)とは、上記の記事でも書いたように、

  • 欠損金 ⇒ 赤字を
  • 繰越  ⇒ くりこす

という意味です。

 

『青色申告とは どこよりもざっくりわかりやすく解説!(法人編)』でメリットの一つとして書いた「赤字を9年繰り越せる」というのがそれですね。

この赤字を繰り越せないと非常に痛い目にあいますので、青色申告をしていない方はできる限り届出を出しましょう!

 

 

 

繰越欠損金の節税への活用法

さて、この繰越欠損金、上にも書いたように9年経っても使いきれなかったら消えてしまいます

(今後10年に延びる予定)

 

もし1000万円の赤字があっても、1年に100万円ずつしか使えなかったとしたら100万円使いきれずに余っちゃう、ということですね。

この使いきれなかった繰越欠損金は、『トランプ氏の税金逃れ問題をきっかけに赤字の繰り越しについて考える』でも書いたように、

  • 会社が解散するとき
  • 会社更生法や民事再生法などの適用を受けるとき

などの「会社が傾いたり潰れてしまったり」といった特殊な場面でないと使うことができません。

 

なので使いきれずに消えてしまうのは非常にもったいないんですね。

これを使いきるための方法として、

  • 利益の出る保険などを解約する
  • 含み益のある資産を売却する
  • 債務免除をする
  • (裏技)減価償却しない

といったものがあります。

 

使っても使わなくてもその年の税金は変わらないんですが、利益の出るものを早めにぶつけてしまうことで未来の税金を少なくする方法、ということです。

順に解説していきますね。

 

 

活用法① 利益の出る保険などを解約する

生命保険をかけている会社さんで、タイミングがよければ、その年に解約すると利益が発生する保険があります。

利益が出る保険の大半は、支払ったときにある程度の金額が費用になっているはずです(節税を兼ねて加入していることも多いです)。

 

もし繰越欠損金が消えてしまうのであれば、この解約益と繰越欠損金をぶつけてしまいましょう

保険はタイミングによって戻ってくる金額が違ったり、資金繰りへの影響があったりするので、必ずしも繰越欠損金が消えてなくなる年に解約する必要はありません。

「繰越欠損金はいつ消えそうか(このままでは消えそうにないか)」

「自社の利益をどれぐらい出せるのか」

などを踏まえて、消えそうになければ少し早めのタイミングでもよいので、計画的に解約を検討していきましょう。

 

 

活用法② 含み益のある資産を売却する

『固定資産を売って節税を企てよう! 含み損が出ている不動産編』で、売ったら損になる土地や建物を売って節税に役立てよう、という内容をご紹介しました。

 

会計などではよく「含み損」「含み益」という言葉が出てくるのですが、

  • 含み損のあるもの ⇒ 売ったら損が出るもの
  • 含み益のあるもの ⇒ 売ったら利益になるもの

と、要は決算書に残っている金額と実際に売れる金額が違うときにこういった言葉を使います。

 

含み損のあるものは、売ることで直接的に税金を減らす役に立ったりしますが、含み益のあるものも消えそうな繰越欠損金とぶつけることで節税に活用できるのです。

(固定資産だけでなく、株や社債・国債などでもOKです)

 

『利益が出てたら固定資産を捨てよう 片付け上手は節税上手』でも書いたように、日頃から「自社がどんな固定資産を持っているのか」を把握しておいて、いざという時に対策を打てるようにしておきましょう。

 

 

活用法③ 債務免除をする

これも『債務免除(債権放棄)が必要な場合とメリットデメリット』で書きましたが、「債務免除」というものがあります。

簡単に言うと、株主や経営者など、誰かから会社が借りたお金のうち、返せる見込みのないものを放棄してもらう、という手続きのことを債務免除と言います。

(銀行などの他人は基本的に放棄してくれないので、たいてい社長などの関係者が放棄します)

 

これはその記事で書いたように自己資本比率が向上する、という効果もあるのですが、繰越欠損金が消えるタイミングに合わせて債務免除をぶつけることで、繰越欠損金を消すのにも役立てることができます。

こちらもやはり計画的に繰越欠損金と利益を把握しておいて、タイミングを逃さないように対策を打ちましょう。

 

 

活用法④ (裏技)減価償却しない

これは(裏技)と書いているだけあってあんまり大っぴらにできるものでもありません(^_^;)

特に決算書を銀行さんなどに毎年見せているような会社さんではおすすめできない小技ですね。

 

前提として、

  • 繰越欠損金が使い切れない
  • 決算書を銀行などに見せていない

という条件を2つとも満たす会社さんが対象になるでしょう。

 

減価償却をしないことで利益を出す

特にマンションなどの建物を買った場合に、減価償却費が大きくて利益が出にくい(赤字になってしまう)会社さんがあります。

建物は長いと50年ぐらいの長期間で費用にしていくので、繰越欠損金の9年と比べると減価償却のほうが明らかに長いんですね。

 

こういう場合、あえて減価償却費を少なくして(ゼロにして)利益を出すことで繰越欠損金とぶつけると、繰越欠損金を活用することができます。

もし毎年ある程度の金額の減価償却費があって、繰越欠損金が使いきれない可能性が高いのであれば、一度検討してみましょう。

 

なぜ「決算書を銀行などに見せていない」ことが必要なの?

「なぜ決算書を銀行などに見せていないことが必要なの?」

と疑問に思った方がいるかもしれませんが、実は減価償却費というものは正しい金額より少なくしちゃダメなものなんです。

 

会計の決まりで「毎年一定のルールに従ってきちんと費用にしなさいよ」ということが決められています。

なんでかというと、今回のケースのように減価償却費を少なくすることで、会社の実態以上に利益を出すことができてしまうからです。

 

ただ税務署に関しては、「本来の金額以上に費用にしてなければ、まあそこまで口うるさくは言いません」というようなところがあるので、あくまで

  • 社長一族が株主で、
  • 銀行のような第三者とのお金の貸し借りがない

状況などの場合に例外的にできることがある、という方法です。

 

 

 

 

繰越欠損金をつかった節税のまとめ

というわけで、

  • 繰越欠損金とは
  • 繰越欠損金の節税への活用法
    • 利益の出る保険などを解約する
    • 含み益のある資産を売却する
    • 債務免除をする
    • (裏技)減価償却しない

をまとめてみました。

 

「繰越欠損金が使い切れずに消えちゃう!」

ということでお悩みであれば、ぜひ一度検討してみてください!

 

 

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